新・一番搾り 【反撃の狼煙か、迷走の果てか…】 [日本の大手ビール]
リニューアル一番搾り
ライト級からミドル級に無理して階級上げたボクサーですな。自分の体重をまだ扱いきれていない苦悩がにじみ出てます。
これが新登場のビールならば素直に「んまい!」となるんですが、リニューアル版、しかも天下の名品「一番搾り」のリニューアルとなると・・・どうしても比べてしまう。。。んむう
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【ここが変わりました・新旧の原材料】
今までの一番搾りは一番麦汁と副原料に米・コーンスターチを使ったすっきりテイストでおなじみのビールでした。
麦芽を挽いてお湯を加えて加温し、そこから麦殻を濾しとった液体を「一番麦汁」と言います。で、一番麦汁を取り出し終えた後に、釜の底に残った麦殻に上からもう一度お湯をかけてとった液体を「二番麦汁」といいます。
普通は一番と二番を合わせて使うのですが、旧一番搾りは贅沢に一番だけを使っていたのです 一番だけで作ったビールは雑味の少ないものになるそうです。
と言っても二番まで使った普通のビールが雑味だらけ、というわけではありませんよ。釜底の麦殻には発酵に必要な成分がたくさん残ってますから、それを漉しとった二番麦汁にはコクと深みを増す成分がたっぷりなわけです
で、今回のリニューアルでは一番麦汁しか使わないのは今までどおりで、これまで副原料として使っていた米、コーンの使用をやめてしまった。簡単に言えばオールモルト(麦芽100%)のビールに変身したわけです。
これはかなりの変化ですよ マイナーチェンジよりはフルモデルチェンジに近いのでは。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【あっしにはこう感じる】
後味がかなり変わったかな。変更前の一番搾りのす~っと抜ける清涼感は影を潜めました。麦芽のコクとホップの苦味がいつまでも尾をひく感じはまさにオールモルトビールのそれ。余韻たっぷりでインパクト大です
しかし、やや重いと感じてしまう人もいるのでは。このあたりは個人の好みの問題なのですが、あっし的にはキレがイマイチ良くないなあ…という印象です 今までが今までだったからなおさらですよ。
戦闘機がスコーンと口の中を突き抜けていく感じから、鉄アレイ10個引きずって走る人になったみたい。ちょっと意地悪なたとえですが笑
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【世界から見た日本のビール】
オールモルトにしたことで自ら敵を増やしてしまったよなあ。
ライト級にはライト級のよさがあるのに。それに日本のオールモルトは強豪だらけですよ。ハートランドにエビス、モルツ・・・どれとっても世界一線級のピルスナーですよ
かの有名なビール評論家、マイケルジャクソン氏が世界のビールを飲みあさって格付けをした「世界ビール大全」誌にも見事この3つはラインナップされています ハートランドは★★、エビスは★★★、モルツは★★。ちなみに4つ星が最高点です。
そんな強豪の中に飛び込んで行く勇気はあっぱれなのですが・・・。リニューアル前の一番搾りには★★を与えていたマイケルジャクソン氏は、この新一番搾りは一体どう評価するのだろうか・・・氏が物故者となってしまった今となっては知る由もありませんが
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【オールモルト信奉って…】
今日本では地ビールがどんどん受け入れられていってます。ビールにはピルスナー以外にも無数の種類があることを人々が知り始めて、その多様多彩な味に慣れ始めている時だと思います。
それに大手メーカーも季節限定ビールなどで多様なビールの世界を紹介し始めている。小麦ビールとかずいぶん一般的になりましたよね。
つまり、昔みたいに「オールモルトか否か」という単純な二元論はもうなくなりつつある。
なのに「オールモルトにすれば格が上がる」とか「他がみんなオールモルトだからうちも」みたいな安直な意図が今回のリニューアルには見え隠れしてしまっているよなあ。殿様商売というか。
オールモルト崇拝が未だ強い国って日本くらいなのでは。世界のビールは麦芽、ホップ以外の原料を山ほど使ってるのに。ベルギーのビールがいい例です。んまいビールほど副原料を巧みに使ってると言っても言いすぎではないと思います。米とコーンスターチを使ったすっきりテイストのビールだって何も恥じることはない。立派なんまいビールですよ。ライト級にはライト級の良さがあるのに。。。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
というわけで、まだ出回っている旧一番搾りを呑みながら文をしたためております。また一つ惜しいビールが消えていった・・・
たまに辛口な猫背でしたm(_ _)m
コメント 0