【頑張れ東北】猪苗代地ビール【I love 福島】 [日本のクラフトビール]
地震から二週間が経とうとしています。まずはこのたびの地震とそれに伴う災害で被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
埼玉県の猫背宅は震度6弱の地震でしたが、幸いにも家の中の物が倒れたり散らかったりしたぐらいで、被害は全くない状況でした。
が、この10日あまり、日本が今までの日本でなくなっていく様を目の当たりにしてただ茫然と過ごしておりました。そして、そんな時期でも仕事の都合で関東と関西~九州を行き来していて、今の日本に間違いなく存在する、そしてこれからもかさぶたのように残るであろう「温度差」を肌で感じて、さらに悶々としておりました。
そんな私が出した結論は、「思うだけの祈り」はもう要らない、です。いくら祈っても、耐えても、怒っても、何も変わらない。東北地方が少しでも今までの東北地方に戻れるように、動かなければならない。
では、このブログでできることは何だろう。
一個人の私としてできることはいろいろあります。募金でも、物資提供でも、いくらでも。しかし、ビールに特化したこのブログでできることはやはり、東北地方のビールを紹介して、今後の東北地方の復興の一助になることなのだろう、と考えました。たとえそれが大河の一滴のような小さな小さな助力であったとしても、それしかできないな、と考えました。
私は仕事の都合上関東と関西~中国を行き来することが非常に多いのですが、逆に東北地方には旅行でしか行かない生活を送ってきました。そのせいかこのブログでも関東以北のビールをとりあげることが少なかったな、と気づいたのはこの2月のことでした。
よし、2011年は東北、北海道のビールもじゃんじゃん紹介せねば!お、今度ちょうど仕事で福島に行く機会があるから、そのついでに翌日に盛岡まで足を伸ばしてベアレン醸造所に行こう!
その「福島に行く機会」がまさに3月11日でした。
家を出る直前に地震が発生し、しばらくおあずけとなってしまいました。
おあずけにされた分だけ大きな祈りと期待を込めて、今年は東北地方のビールをじゃんじゃんとりあげようと決意しました。
中でも猫背個人としては、福島県への思い入れは人一倍です。大好きな場所です。
日本一美味な喜多方ラーメン、雄大な磐梯山と猪苗代湖、絶景連続の只見線、人懐っこい方言で満たされる磐越西線の賑わい、江戸の町並みを残す大内宿に芦ノ牧温泉、生れて初めて足湯に浸かった熱塩温泉。年に数回は必ず訪れているので、思い出がどんどんあふれ出てきます。
そんな大好きな場所が背負わされてしまった苦難の大きさは一体どれほどのものなのだろう。まだ事態が鎮静していないうちに結論めいたことを言うのは性急かもしれませんが、これから福島県が歩まなければならない日々の壮絶さは想像するに余りあります。
しかし、私は何も変わりません。変わらない自信があります。福島県が大好きです。
私は今までと変わらず福島県に足を運び、その大地の恵みを味わい、もちろんビールも味わい、福島の人を愛します。
今回の写真はその福島県の醸造所、猪苗代地ビールのラオホ(燻製ビール)です。昨年7月に行って現地のレストランに行きたらふく呑み、おみやげにこのボトルを買ってきたのですが、現在はレストランは営業を休んでいるようです。再開したらいの一番に行きたいと思っております。
ガラにもなく独白ばかりの記事になってしまいました。ですが、これからの方向性と決意の表明として受け取っていただけるとありがたいです。
次回の記事から再開します。ベアレン醸造所のビールをとりあげようと考えています
伊香保ヴァイツェン祭り@自宅【猫背的小麦まみれ】 [日本のクラフトビール]
「そうだ、京都、行こう」 JR東海
「暇だ、伊香保、行こう」 猫背
我ながらくだらんorz あっ、行かないで・・・
というわけで今日は日本最強の温泉天国、群馬県にある伊香保温泉にやってまいりました~・・・ビールを買いに
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
もともと来るつもりではなかったのですが、伊香保からほど近いところにある「水沢うどん」を食べに来たのです。
んまかった
で、その帰りに・・・
「よし、伊香保でビール買って帰ろう」
と思い立ったわけです。いや~寒かった
バスターミナル付近からの眺め。ん~いい眺めだ
伊香保といえばやはり…
石段。平日なのにけっこう人いました。
昭和情緒のたっぷり残る温泉街
そうそう、これも忘れちゃいかん。
射的&輪投げ。ひやかしの客はハイアースで追い払われます。
少し歩くと…
ずいぶん古い射的屋さんもありました。ん~歴史の重みを・・・
感じませんorz
こんな(どんなだよ)伊香保温泉街の石段沿いにあるこの酒屋…
ここで群馬のクラフトビールが…
ずらり4種類買えるのです なんとしかも、その4種全部がヴァイツェン よ~し、ヴァイツェン祭り開催だ~ あ、もちろん帰宅後ですよ。気温ひとけたの石段に座って宴会したら、通報される前に昇天します。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
というわけで帰宅後にいよいよ…
開催伊香保ヴァイツェン祭り@居酒屋猫背。まずはやはり…
オゼノユキドケ、ホワイトバイツェン 群馬県にある「龍神酒造」のつくるビール、オゼノユキドケ。ロシアの地名ぢゃありませんよ。「尾瀬の雪融け」のカタカナ版です。
ここのビールはとにかく小麦ビールがんまい。このホワイトバイツェンはまさにオゼの代表作です。いただきま~す
ん~バイツェンならではのクローブ香がしっかり。苦味は極めて低いです。そのかわりに心地よい酸味が小麦麦芽の甘さとからまって、実にフルーティ。実にさわやか
しゃきっとするような爽快感。こりゃ風呂上りにはたまらんですたい。
コリアンダー的なスパイシーな香り&風味も感じられますな。まさに、和製ヒューガルデン。でも、原材料は麦芽(小麦麦芽、淡色大麦麦芽)とホップだけで、スパイス類は一切使ってません。あっぱれ。
次は同じくオゼノユキドケのブラウンバイツェン~。
原材料はホワイト同様に麦芽(小麦麦芽・濃色大麦麦芽)とホップのみ。ホワイト同様のヴァイツェン香の中に、ほのかにチョコレートのようなココアのような香り。スパイシーさに焙煎麦芽の香ばしさと濃淳な甘さが上品に絡まります。ん~抜群のバランス。んまいです
こういう濃色のヴァイツェンはドイツにはよくあるスタイルなのですが、日本のクラフトビールではあまり見ませんな。それだけに貴重な存在です、ブラウンバイツェン。
お次は…
石段物語。大変わかりやすいネーミングです笑
でも、観光地ビールとあなどるなかれ。これの中身は群馬県の醸造所「川場ビール」のヴァイツェンなのです。道の駅「川場田園プラザ」の中にある醸造所ですが、ここ最近はコンペティションでの入賞も増えてきている気鋭の醸造所です
川場ビールHP
http://www.denenplaza.co.jp/osake/beer.html
ヴァイツェン特有の香りは控えめです。ヴァイツェンが苦手な人にはきっといい。オゼホワイトとは異なり、ぬるりとしたボディ。スパイシーさも控えめで、適度なクローブ香とモルトの甘味、酸味が調和しています。全体的におしとやかな印象です。
そして最後は・・・
みなみビール。ラベルの下部に「アトリエ夢二 謹製ビール」とあります。たぶん、伊香保に竹久夢二記念館があるので、そこと何か関係があるものと思われます。
石段物語同様に控えめな香り、まったりとしたボディ、ん~穏やか。と思いながらふとラベルに目をやると…
これも川場ビールのヴァイツェンでした笑 何たるデジャブ。
ちなみにこうやって、他の醸造所のビールをラベルだけ貼り換えたビールのことを「レーベルビール」って呼びます。さっきの石段物語もそうだし、日本のあっちこっちにありますよ。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
お、そういえばこんなヴァイツェンも買ってあったんだった。
ドイツのヴァイツェン、フランチスカーナです
↓写真で一言。どうぞ。
「いかん、金魚出てこない・・・」
ん~40点orz 皆様の作品もどしどしお寄せください。
バナナ香の強い猫背の大好きなヴァイツェンです、フランチスカーナ。でもやっぱり輸入ビールの難点で、輸送中の品質劣化が程度の差はあれどうしても避けられないのです
特にヴァイツェンは足が早いらしく、こうやって国内産の新鮮なヴァイツェンを呑んだ後に輸入ものを呑んでみると、その違いは歴然です。まあ「どこが良いか」ではなく「どこがだめか」を気にしながら呑み喰いすることほど馬鹿げたことはない、とあっしは思ってますんであんまり言いませんが。
温暖化がすすんで北極の氷が溶けてしまえば、ヨーロッパから日本に北極回りでビールを輸送できるようになるから距離がぐっと縮まるし、おまけに天然の冷蔵庫の中を輸送されるわけだからすごくいいコンディションで日本にビールが入ってくるのになあ、とか反社会的な妄想をしてみたりしました。すみません冗談です忘れてくださいm(_ _)m
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
閑話休題。伊香保はちょっとしたヴァイツェン天国なのです。というか伊香保に限らず日本のクラフトビールのヴァイツェンは名作揃いですよ。店で見かけたら是非ご賞味ください~
「暇だ、伊香保、行こう」 猫背
我ながらくだらんorz あっ、行かないで・・・
というわけで今日は日本最強の温泉天国、群馬県にある伊香保温泉にやってまいりました~・・・ビールを買いに
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
もともと来るつもりではなかったのですが、伊香保からほど近いところにある「水沢うどん」を食べに来たのです。
んまかった
で、その帰りに・・・
「よし、伊香保でビール買って帰ろう」
と思い立ったわけです。いや~寒かった
バスターミナル付近からの眺め。ん~いい眺めだ
伊香保といえばやはり…
石段。平日なのにけっこう人いました。
昭和情緒のたっぷり残る温泉街
そうそう、これも忘れちゃいかん。
射的&輪投げ。ひやかしの客はハイアースで追い払われます。
少し歩くと…
ずいぶん古い射的屋さんもありました。ん~歴史の重みを・・・
感じませんorz
こんな(どんなだよ)伊香保温泉街の石段沿いにあるこの酒屋…
ここで群馬のクラフトビールが…
ずらり4種類買えるのです なんとしかも、その4種全部がヴァイツェン よ~し、ヴァイツェン祭り開催だ~ あ、もちろん帰宅後ですよ。気温ひとけたの石段に座って宴会したら、通報される前に昇天します。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
というわけで帰宅後にいよいよ…
開催伊香保ヴァイツェン祭り@居酒屋猫背。まずはやはり…
オゼノユキドケ、ホワイトバイツェン 群馬県にある「龍神酒造」のつくるビール、オゼノユキドケ。ロシアの地名ぢゃありませんよ。「尾瀬の雪融け」のカタカナ版です。
ここのビールはとにかく小麦ビールがんまい。このホワイトバイツェンはまさにオゼの代表作です。いただきま~す
ん~バイツェンならではのクローブ香がしっかり。苦味は極めて低いです。そのかわりに心地よい酸味が小麦麦芽の甘さとからまって、実にフルーティ。実にさわやか
しゃきっとするような爽快感。こりゃ風呂上りにはたまらんですたい。
コリアンダー的なスパイシーな香り&風味も感じられますな。まさに、和製ヒューガルデン。でも、原材料は麦芽(小麦麦芽、淡色大麦麦芽)とホップだけで、スパイス類は一切使ってません。あっぱれ。
次は同じくオゼノユキドケのブラウンバイツェン~。
原材料はホワイト同様に麦芽(小麦麦芽・濃色大麦麦芽)とホップのみ。ホワイト同様のヴァイツェン香の中に、ほのかにチョコレートのようなココアのような香り。スパイシーさに焙煎麦芽の香ばしさと濃淳な甘さが上品に絡まります。ん~抜群のバランス。んまいです
こういう濃色のヴァイツェンはドイツにはよくあるスタイルなのですが、日本のクラフトビールではあまり見ませんな。それだけに貴重な存在です、ブラウンバイツェン。
お次は…
石段物語。大変わかりやすいネーミングです笑
でも、観光地ビールとあなどるなかれ。これの中身は群馬県の醸造所「川場ビール」のヴァイツェンなのです。道の駅「川場田園プラザ」の中にある醸造所ですが、ここ最近はコンペティションでの入賞も増えてきている気鋭の醸造所です
川場ビールHP
http://www.denenplaza.co.jp/osake/beer.html
ヴァイツェン特有の香りは控えめです。ヴァイツェンが苦手な人にはきっといい。オゼホワイトとは異なり、ぬるりとしたボディ。スパイシーさも控えめで、適度なクローブ香とモルトの甘味、酸味が調和しています。全体的におしとやかな印象です。
そして最後は・・・
みなみビール。ラベルの下部に「アトリエ夢二 謹製ビール」とあります。たぶん、伊香保に竹久夢二記念館があるので、そこと何か関係があるものと思われます。
石段物語同様に控えめな香り、まったりとしたボディ、ん~穏やか。と思いながらふとラベルに目をやると…
これも川場ビールのヴァイツェンでした笑 何たるデジャブ。
ちなみにこうやって、他の醸造所のビールをラベルだけ貼り換えたビールのことを「レーベルビール」って呼びます。さっきの石段物語もそうだし、日本のあっちこっちにありますよ。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
お、そういえばこんなヴァイツェンも買ってあったんだった。
ドイツのヴァイツェン、フランチスカーナです
↓写真で一言。どうぞ。
「いかん、金魚出てこない・・・」
ん~40点orz 皆様の作品もどしどしお寄せください。
バナナ香の強い猫背の大好きなヴァイツェンです、フランチスカーナ。でもやっぱり輸入ビールの難点で、輸送中の品質劣化が程度の差はあれどうしても避けられないのです
特にヴァイツェンは足が早いらしく、こうやって国内産の新鮮なヴァイツェンを呑んだ後に輸入ものを呑んでみると、その違いは歴然です。まあ「どこが良いか」ではなく「どこがだめか」を気にしながら呑み喰いすることほど馬鹿げたことはない、とあっしは思ってますんであんまり言いませんが。
温暖化がすすんで北極の氷が溶けてしまえば、ヨーロッパから日本に北極回りでビールを輸送できるようになるから距離がぐっと縮まるし、おまけに天然の冷蔵庫の中を輸送されるわけだからすごくいいコンディションで日本にビールが入ってくるのになあ、とか反社会的な妄想をしてみたりしました。すみません冗談です忘れてくださいm(_ _)m
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閑話休題。伊香保はちょっとしたヴァイツェン天国なのです。というか伊香保に限らず日本のクラフトビールのヴァイツェンは名作揃いですよ。店で見かけたら是非ご賞味ください~
桜酵母ビール 【桜の木の恵み】 [日本のクラフトビール]
今日は秋田県の湖畔の杜ビールの「桜酵母ビール」でございます
いや~「桜酵母」とはなんとも春を先取りしたネーミングぢゃありませんか。その名の通り、桜の木に住んでいた酵母を使って醸造したビールです では普通のビールと何が違うのか、なんて難しい話はまあ後ほど。興味あれば読んでください~。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
いただきま~す
原材料は麦芽とホップのみ。桜的なるものはありません。それでも香りにはなぜかほんのり甘い香り。これはホップの香りなのか酵母由来のものなのかはちとわかりません。
呑む。いや~実に複雑。やわらかい甘さの中に抹茶のような渋みもキラリ。後味にはやはり桜のような香り。桜の花のきらびやかなイメージというよりは、幹や土まで含めた樹全体の桜のイメージが投影されている、って感じかなあ。華やかさ、良い意味での土臭さ、力強さ、いろんな要素を感じます
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
では何故こんな複雑な香味のビールができるのか。たっぷりご説明いたします。猫背的発酵講座のはじまり~。あっ、行かないで・・・
世にある酒と呼ばれるものには必ず含まれるもの、もちろんアルコールです。このアルコールってのはどんな酒であっても酵母が作りだすものです。では、酵母は何を食べて何を出すのか。図解いたします。
ちょっと工夫してみました 真ん中の水色のがビール酵母、S・セレビシエです。逆に見づらいかなあ・・・
ビールに話を限定します。ビールのアルコールは麦芽の中に含まれる糖を酵母が食べて出すもの、極めて単純に言ってしまえば、酵母の排泄物なのです。
われわれヒトだって、食えば出ます。いろんなものが それは酵母だって同じ。ヒトにたとえて言えばこんな感じでしょうね。
アルコール = 酵母の小便
炭酸ガス = 酵母のオナラ
香気成分 = 酵母のゲップ
食事中の皆さん、失礼いたしましたm(_ _)m ビール呑んでる真っ最中の皆さん、本当に失礼しましたm(_ _)mm(_ _)m
あくまでもたとえですよ、たとえ。んでもこうとらえていただけると発酵の過程がすごくわかりやすくなると思います。
それにしても酵母の排泄物にメロメロにさせられているなんて、ヒトなんてかわいいもんですな。ヒトが全生物の頂点であるなんてちゃんちゃらおかしい話ですよ。末端の排泄物にこれまでどれだけのヒトがやられてきたことか笑 ある意味ヒトは酵母の奴隷なのかもしれませんね。んでもこんな幸せな奴隷ならいつまででもやってたいなあ
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
話を戻します。ビールを醸してくれる酵母には全部で3つの種類があります。
上からラガー酵母、エール酵母、自然酵母、です。
ちなみにもやしもんキャラは真ん中のS・セレビシエ以外の2つは単なる助っ人です。上のはS・ソーエ(味噌や醤油を醸す)、下のはC・トリコイデス(黒カビ)でビール醸造では何の仕事もしません笑。誤解なさらぬように
すんごい細かい話ですが、ラガー酵母とエール酵母は昔は全く別の種類だと考えられていたのですが、最近の研究でどちらもS・セレビシエに属するものだということが判明しました。ちなみにSは「サッカロマイセス」の略で、「糖を食べるキノコ」の意味です。
この3つの酵母の違い、それは「アルコールと炭酸ガス以外の副産物」です。上の図で「香気成分(エステル)」とありますが、これが副産物の代表です。これ以外にもいろいろ副産物を生成しているのですが、これが決定的に異なる。その違いがビールの多種多様な味わいにつながっているのです。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ラガー酵母はどちらかと言うとおとなしい、おしとやかな酵母です。副産物をあまり出さない、すっきりしたビールを醸すのが得意。現在日本を席巻しているピルスナーや、デュンケル、シュバルツといった黒ビールはこのラガー酵母が醸すものです。
エール酵母は性格の荒々しい、陽気な奴です。発酵するときもボコボコと盛大にガスを出し、まるで沸騰しているかのような激しさ。そんなエール酵母は香気成分も副産物もたっぷり出してくれます。ビールファンを魅了してやまないフルーティな香り、複雑なフレーバーはこのエール酵母がもたらすものです ペールエールなどの「○○エール」という名前のビールやスタウトはエール酵母の担当です。
またまた脱線しますが、日本でおなじみの某メーカーの「●番搾りスタウト」ですが、あれは厳密にはスタウトではありません。だってエール酵母使ってませんから。正しくはシュバルツかデュンケルに分類されるべきものです。
なのに、日本の妙な法律(詳細は端折ります)のせいであれを「スタウト」と表示してよい、という規定がされているのです。こういう小さなウソを積み重ねてきた結果、世界でも独特のビール文化が日本にはできてしまったのでしょうね。悲しいことです
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ようやく話が桜酵母に戻ります。今回のビールを醸してくれた「桜酵母」ですが、これは3番目の「自然酵母」にあたります。簡単に言えば、自然界に存在している酵母、ということです。「え、じゃあラガー酵母とエール酵母は自然界に存在していないの」という質問、いい質問ですね~。
もちろんラガー酵母もエール酵母ももともとは自然界に存在していたものです。が、ヒトの中にも真面目な働き者も怠け者も犯罪者もいるように、酵母にも性質の違いがあるのです。つまり、自然界に存在している酵母をそのまま醸造に使ってしまうと、どんなビールが出来上がるかわからない。働き者酵母が多ければんまいビールになるけど、怠け者や犯罪者の楽園だったりしたらとんでもないビールになってしまうわけです
そこで現在では研究所で働き者酵母だけを選び出し、育てて醸造に用いるという「純粋培養」の方法が用いられています。ちなみにこの純粋培養に初めて成功したのは1883年、デンマークのカールスバーグ研究所です。そう、おなじみのあのビールですよ。
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ところが世界には今でも「自然酵母をそのまま使ってビールを作ってしまえ」というビールがわずかながら残っています。
代表例がベルギーの「ランビック」と呼ばれるビールです。このビールはなんと、その醸造所に棲みついている酵母、日本酒で言うところの「蔵つき酵母」にビールを造らせるという大変特殊な醸造法で醸されています。棲みついている酵母と一口に言っても、そりゃまあいろんな性格の酵母がいるわけです。だからランビックの香味は実に複雑 まあ機会あったら呑んでみてくださいよ。最初はおったまげると思います。
この桜酵母は桜の木に棲みついていた酵母を採取し、おそらくそれを研究所で培養してからビールを作らせたものと思われます。だからランビックとは違って、ある程度の酵母の選抜は行われているはずです。それでもやはりラガーやエールとは明らかに違う複雑なフレーバー。自然界での微生物達の営みを感じてください
タグ:桜酵母ビール