キリン アイスプラスビール 【氷を入れて飲むビール】 [日本の大手ビール]
氷を入れると,コクが引き立つ
氷を入れるとコクが引き立つ,新スタイルビール。
氷を入れると引き立つ発酵由来(上面発酵製法を採用)の複雑な香りやカスケードホップの甘い香り,氷を入れたときに適度に感じられる「すっきりした甘み」と「マイルドな苦味」の絶妙なバランスが特長です。
【原材料 … 麦芽,ホップ,スターチ,糖類(乳糖)】
以上は,キリンHPからの引用です。猫背の言葉ではありません。くれぐれもお間違いのないように。
さて,このHPの文言にはたして齟齬はないのか。
というわけでやってみました。 「氷を入れない状態との比較~♪」。ふっふっふっ,わしは大手のビールには厳しいのです・・・
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
猫背的たまに本気テイスティングモード,スイッチオーン 写真左が氷入り(以下「入り」),右が氷無し(以下「無し」)だす。
それではスタート
香り。「無し」は実に濃醇な香り。カスケードホップの香り以上にエール酵母のエステル香をはっきり感じる。これは普段ピルスナーしか呑まない人にはちとしつこいと感じられるかも。「入り」のほうが適度で軽やか。スパイシー
呑む 「無し」は・・・お~,んまい ボディ(味の厚み)のしっかりしたバランスのいいペールエールです。
ボディ感の強さは乳糖に由来するものでしょう。余談ですが,ビールにボディを付与するために乳糖を添加するというのは海外のビール,特にイギリスのスタウトなんかでよく用いられる手法です。
「入り」は・・・ん~,冷たい! あたりまえだ
「無し」ではやや重めだったボディもこうすればまあ適度になる。ただ,氷が溶けはじめると味のバランスが崩れて,ホップの妙な苦味だけが後味に長く残る。せっかくの麦感,エールの芳醇さが台無し。。。ビールというよりは麦のチューハイみたいな感じだな。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
で,ふと気づいたら「入り」は泡もちが悪い・・・。比べてみれば差は歴然。
右が「入り」です。左の「無し」に比べると泡の厚さがまるで違います。上から見るとさらに・・・
こんな感じです。雪山とハゲ山の航空写真ですな。
これだけ泡が少ないので,口の中でふくらむ感じも少なくなる。口蓋を刺激しながら喉を通っていくビール特有の快感はまあ皆無です だからチューハイっぽいんだな。
試しに「無し」にも少量の水を入れてみると・・・ボディはやはりなくなりましたが,泡持ちはそれほど変わりませんでした。さて,ここで問題です 「入り」も「無し」も同様に薄まっているにもかかわらず、これだけ発泡の差が生まれたのは何故でしょうか?
あ,今回は選択肢はありません。記述回答です。
正解は・・・「温度」でした~
ビールの泡の正体は,ビールに含まれている二酸化炭素です。二酸化炭素は水によく溶ける気体なので,ビールにはたっぷりと二酸化炭素が含まれています。ちなみに瓶ビールでだいたい瓶の容量の3倍くらいの二酸化炭素が含まれています。
ですが,二酸化炭素が液体中に含有される上限量は,液体の温度に反比例します。つまり,液体が冷たいほど液体中に閉じ込めておける。逆に,液体の温度が高いと二酸化酸素は外に飛び出そうとする。このようにして飛び出してきた二酸化炭素がビールの泡になり,さらには口に入れたときのシュワシュワ感や喉越しの気持ちよさをもたらすニクい奴となるわけです
これを今回の「入り」と「無し」について言えば,より冷たい「入り」のほうが「無し」より二酸化炭素を閉じ込める力が大きいのです。だから,泡が立たない。呑むときにも刺激や喉越しはない。ビールのこういう刺激が苦手な人にはいいと思いますが,個人的にはいかがなものかと思います
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
結論。アイスプラスビールは
ビールとして呑みたければ氷を入れずに呑みましょう!
そのまま呑めば実に出来の良いペールエールです 舌の肥えたビール好きにもかなりのハピネスを届けてくれると思います。なのに、何故氷を・・・orz
「ペールエールを薄めれば一般の人にもウケるビールになる」という単純な発想から造ったなんてことは絶対無いだろうし、「アサヒスーパードライのエクストラコールドは店でしか呑めないが、これならば家でも呑める!」なんてコンセプトで生まれたとも思いたくないし・・・
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以上を踏まえて,そして,ここまで読んでくださったおそらくはビール大好きの皆様の気持ちを代弁して,猫背が冒頭のキリンHPの文言に訂正を加えたいと思います。
氷を入れるとないと,コクが引き立つ
氷を入れるとないとコクが引き立つ,新スタイルビールペールエール。
氷を入れると引き立つ消えてしまう発酵由来(上面発酵製法を採用)の複雑な香りやカスケードホップの甘い香り,
氷を入れたときに適度に感じられるほとんど感じられなくなる「すっきりした甘み」と「マイルドな苦味」の絶妙な微妙なバランスが特長です。
ふう、すっきりした さて、氷を入れずにもう一本・・・
氷を入れるとコクが引き立つ,新スタイルビール。
氷を入れると引き立つ発酵由来(上面発酵製法を採用)の複雑な香りやカスケードホップの甘い香り,氷を入れたときに適度に感じられる「すっきりした甘み」と「マイルドな苦味」の絶妙なバランスが特長です。
【原材料 … 麦芽,ホップ,スターチ,糖類(乳糖)】
以上は,キリンHPからの引用です。猫背の言葉ではありません。くれぐれもお間違いのないように。
さて,このHPの文言にはたして齟齬はないのか。
というわけでやってみました。 「氷を入れない状態との比較~♪」。ふっふっふっ,わしは大手のビールには厳しいのです・・・
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
猫背的たまに本気テイスティングモード,スイッチオーン 写真左が氷入り(以下「入り」),右が氷無し(以下「無し」)だす。
それではスタート
香り。「無し」は実に濃醇な香り。カスケードホップの香り以上にエール酵母のエステル香をはっきり感じる。これは普段ピルスナーしか呑まない人にはちとしつこいと感じられるかも。「入り」のほうが適度で軽やか。スパイシー
呑む 「無し」は・・・お~,んまい ボディ(味の厚み)のしっかりしたバランスのいいペールエールです。
ボディ感の強さは乳糖に由来するものでしょう。余談ですが,ビールにボディを付与するために乳糖を添加するというのは海外のビール,特にイギリスのスタウトなんかでよく用いられる手法です。
「入り」は・・・ん~,冷たい! あたりまえだ
「無し」ではやや重めだったボディもこうすればまあ適度になる。ただ,氷が溶けはじめると味のバランスが崩れて,ホップの妙な苦味だけが後味に長く残る。せっかくの麦感,エールの芳醇さが台無し。。。ビールというよりは麦のチューハイみたいな感じだな。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
で,ふと気づいたら「入り」は泡もちが悪い・・・。比べてみれば差は歴然。
右が「入り」です。左の「無し」に比べると泡の厚さがまるで違います。上から見るとさらに・・・
こんな感じです。雪山とハゲ山の航空写真ですな。
これだけ泡が少ないので,口の中でふくらむ感じも少なくなる。口蓋を刺激しながら喉を通っていくビール特有の快感はまあ皆無です だからチューハイっぽいんだな。
試しに「無し」にも少量の水を入れてみると・・・ボディはやはりなくなりましたが,泡持ちはそれほど変わりませんでした。さて,ここで問題です 「入り」も「無し」も同様に薄まっているにもかかわらず、これだけ発泡の差が生まれたのは何故でしょうか?
あ,今回は選択肢はありません。記述回答です。
正解は・・・「温度」でした~
ビールの泡の正体は,ビールに含まれている二酸化炭素です。二酸化炭素は水によく溶ける気体なので,ビールにはたっぷりと二酸化炭素が含まれています。ちなみに瓶ビールでだいたい瓶の容量の3倍くらいの二酸化炭素が含まれています。
ですが,二酸化炭素が液体中に含有される上限量は,液体の温度に反比例します。つまり,液体が冷たいほど液体中に閉じ込めておける。逆に,液体の温度が高いと二酸化酸素は外に飛び出そうとする。このようにして飛び出してきた二酸化炭素がビールの泡になり,さらには口に入れたときのシュワシュワ感や喉越しの気持ちよさをもたらすニクい奴となるわけです
これを今回の「入り」と「無し」について言えば,より冷たい「入り」のほうが「無し」より二酸化炭素を閉じ込める力が大きいのです。だから,泡が立たない。呑むときにも刺激や喉越しはない。ビールのこういう刺激が苦手な人にはいいと思いますが,個人的にはいかがなものかと思います
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
結論。アイスプラスビールは
ビールとして呑みたければ氷を入れずに呑みましょう!
そのまま呑めば実に出来の良いペールエールです 舌の肥えたビール好きにもかなりのハピネスを届けてくれると思います。なのに、何故氷を・・・orz
「ペールエールを薄めれば一般の人にもウケるビールになる」という単純な発想から造ったなんてことは絶対無いだろうし、「アサヒスーパードライのエクストラコールドは店でしか呑めないが、これならば家でも呑める!」なんてコンセプトで生まれたとも思いたくないし・・・
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以上を踏まえて,そして,ここまで読んでくださったおそらくはビール大好きの皆様の気持ちを代弁して,猫背が冒頭のキリンHPの文言に訂正を加えたいと思います。
氷を入れ
氷を入れ
氷を入れると
氷を入れたときに
ふう、すっきりした さて、氷を入れずにもう一本・・・
タグ:アイスプラスビール
HEARTLAND~キリン ハートランド 【翠色の夢】 [日本の大手ビール]
皆様あけましておめでとうございます
2011年も皆様にんまいビールを少しでもたくさん、楽しく、長々と紹介するために麦酒道を邁進する所存であります。どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m
新年一発目はキリン不朽の名作、ハートランドです
過去の記事の中や写真の背景でたびたび名前だけは登場させていましたが、そういえばちゃんと書いたことないな~と思い、2011年の幕開けとして記事にしております。
日本の良心と呼ぶべきビールが3つあります。一つはサッポロラガー。一つはアサヒ・ザ・マスター。そしてこのキリンハートランド。
「洗い立ての綿シャツのようにフレッシュ」・・・高名なビール評論家、マイケル・ジャクソンも著書の中でハートランドをこう評して絶賛しています。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
エメラルドグリーンの美しいボトルと徹底されたイメージ戦略のためか、最近のビールだとか海外のビールだとか思われることの多いハートランドですが、れっきとした日本のビールです。生まれは今を遡ること25年、なんと1986年です 現在醸造されているビールの中でもかなり古株に属するビールなのです。
誕生のきっかけはテレビ番組です。キリンがスポンサーをしていた番組とタイアップで作ったレストランで、期間限定で提供するためのビール、という前提でつくられたのがハートランドでした。が、評判が良かったためにレストランの営業期間が終わった後に市販が始まり、現在にいたる、ということです ちなみに市販当初は瓶だけでなく缶でも売られていました。残念ながら猫背は呑んだことありませんが。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
おそらくは何度も終売の候補にあがったことでしょう。しかし、根強いファンの存在と確かな味がそれを乗り越えました。そして現在、数多のビールが新規醸造され短命で消えていく中で、ハートランドはコアなファンと料飲店などの支持もあってか、小さいながらも確かなシェアを保ち、キリンの数あるビールの中でも異色の存在感を放っています。
昔、あるフレンチのお店で聞いたことなのですが、キリン自身も料飲店向けには「通好みのビール」として、ブラウマイスターよりハートランドを押しているようなフシがあるそうです。確かに、「ガツン」のブラウマイスターよりも「ほわん」のハートランドの方が料理に合わせやすいのかな、という気もします。エメラルドグリーンのボトルはビジュアル的にも映えますしね。
これからもサッポロラガー同様に、根強いファンに支えられて長生きしていくビールなのかな、と思います。というか、そうであってほしいです。
キリンHP内のハートランド特設HPですん。
http://www.heartland.jp/
キリンシティHP。いつでもハートランドの樽生が呑めますよん (置いてない店もありますので注意)
http://www.kirincity.co.jp/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
1986年の開発当時のハートランド醸造責任者だった山田一巳さんは現在キリンを退社されて、八ヶ岳を望んだ景勝地、山梨県の清里でクラフトビール「タッチダウンビール」を造っています。
猫背宅からそれほど遠くない距離なので年に1回は清里まで行くのですが、通年醸造の「ピルスナー」はハートランドの面影を感じる、いや、どうしても感じたくなってしまう名品です ぜひご賞味あれ。
タッチダウンビールHP
http://www.moeginomura.co.jp/ROCK/beer.html
タッチダウンのレストランに行った時の記事です
http://nekoze-beer.blog.so-net.ne.jp/2009-01-30
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「楽しんでつくらせてもらいました。苦労したという記憶はないです」
醸造責任者の山田さんが、1986年の開発当事を振り返ってこう述懐しています。そんなハッピーな軽快さが実によくビールに投影されていると思います 「オールモルトのビールは飲み口が重くなる」と信じられていた当時において、このビールのすっきり感はきっと突出していたのだろうと想像できます。
今更このビールのんまさを語るつもりはありません。猫背は初めて呑んだビールに心から感動したことが過去に4回あります。そのうちの1回が樽生のハートランドでした。日本酒をたらふく呑んだ後だったにもかかわらず、あまりのんまさに6杯立て続けに呑んでしまいました シャープな苦味、やわらかい包み込むような麦の甘み、おしとやかさの中にじわりと感じる芯の強さ。大草原の中で深呼吸しているような清涼感 あ゛あ゛、今思い出しても泣ける(T_T)
すいません、語ってしまいました 瓶は生にはさすがにかないませんが、割に簡単に手に入るので、我が家では定期的にいただいてるビールです。
おかげさまで猫背宅の窓はこんなことになってしまいました。
昔撮った写真なので巨大です、すみません
あっしのビールの師匠はこの瓶をたくさん並べて中に土を入れ、ツタを瓶から瓶へと這わせているそうです。か、かっこいい・・・
ハートランドが初めて世に出た上述のレストランが「つた館」という名前だったので、それを意識してツタにしてるのだと思います。あっしも負けずにいずれ電飾か何かほどこしたいと思っとります。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以下、猫背宅のハートランドグッズの面々です。
このプログのビール写真の背景に映り込んでいる、というか映り込ませているハートランド壁掛け。大変気に入っております
ちなみにこいつは昔、広島の串焼きの店「躍」のトイレに掛けられていたものです
新しい壁掛けがやってきてお役御免となり、処分の日を待っていたところを猫背が無理言ってもらってきた、という次第です。トイレから居間へ。警視庁的に言えば3階級特進です。「躍」さん、ありがとうございました。
食べログ内の「躍」のページです
http://r.tabelog.com/hiroshima/A3401/A340101/34001701/
こちらは鏡でございます。ヤフオクでゲットしました。
これはピンバッジです。これも「躍」でもらいました。かなり小さいです。
前にタッチダウンビールのレストランに行った時に、ハートランドファンであることをアピールするためにこのバッヂを襟につけていたのですが、レストランスタッフの誰にも気づかれませんでした。ちーんorz
ハートランドのロゴ入りピルスナーグラス。こちらは大阪のフレンチのお店、sans-souciでいただいたものです。料飲店の皆様、猫背が来たら何かしら持っていかれるものと覚悟しといてください。sans-souciさん、ありがとうございました
食べログ内のsans-souciのページです。
http://r.tabelog.com/osaka/A2706/A270602/27010839/
ジョッキとビアマグです。上のピルスナーグラスは非常に割れやすい(現に一つ割ってしまった)のですが、このジョッキは分厚いガラスで実に頑丈 家で宴会する時に気楽に使えて便利です。
お、こんなのもあった。
マッチ箱大の箱の中身は・・・
クリップでした~。使ったことありませんが。
次に欲しいものは、あっしがハートランドをこれからもず~っとエンジョイするための元気と肝臓と日本です
2011年も皆様にんまいビールを少しでもたくさん、楽しく、長々と紹介するために麦酒道を邁進する所存であります。どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m
新年一発目はキリン不朽の名作、ハートランドです
過去の記事の中や写真の背景でたびたび名前だけは登場させていましたが、そういえばちゃんと書いたことないな~と思い、2011年の幕開けとして記事にしております。
日本の良心と呼ぶべきビールが3つあります。一つはサッポロラガー。一つはアサヒ・ザ・マスター。そしてこのキリンハートランド。
「洗い立ての綿シャツのようにフレッシュ」・・・高名なビール評論家、マイケル・ジャクソンも著書の中でハートランドをこう評して絶賛しています。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
エメラルドグリーンの美しいボトルと徹底されたイメージ戦略のためか、最近のビールだとか海外のビールだとか思われることの多いハートランドですが、れっきとした日本のビールです。生まれは今を遡ること25年、なんと1986年です 現在醸造されているビールの中でもかなり古株に属するビールなのです。
誕生のきっかけはテレビ番組です。キリンがスポンサーをしていた番組とタイアップで作ったレストランで、期間限定で提供するためのビール、という前提でつくられたのがハートランドでした。が、評判が良かったためにレストランの営業期間が終わった後に市販が始まり、現在にいたる、ということです ちなみに市販当初は瓶だけでなく缶でも売られていました。残念ながら猫背は呑んだことありませんが。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
おそらくは何度も終売の候補にあがったことでしょう。しかし、根強いファンの存在と確かな味がそれを乗り越えました。そして現在、数多のビールが新規醸造され短命で消えていく中で、ハートランドはコアなファンと料飲店などの支持もあってか、小さいながらも確かなシェアを保ち、キリンの数あるビールの中でも異色の存在感を放っています。
昔、あるフレンチのお店で聞いたことなのですが、キリン自身も料飲店向けには「通好みのビール」として、ブラウマイスターよりハートランドを押しているようなフシがあるそうです。確かに、「ガツン」のブラウマイスターよりも「ほわん」のハートランドの方が料理に合わせやすいのかな、という気もします。エメラルドグリーンのボトルはビジュアル的にも映えますしね。
これからもサッポロラガー同様に、根強いファンに支えられて長生きしていくビールなのかな、と思います。というか、そうであってほしいです。
キリンHP内のハートランド特設HPですん。
http://www.heartland.jp/
キリンシティHP。いつでもハートランドの樽生が呑めますよん (置いてない店もありますので注意)
http://www.kirincity.co.jp/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
1986年の開発当時のハートランド醸造責任者だった山田一巳さんは現在キリンを退社されて、八ヶ岳を望んだ景勝地、山梨県の清里でクラフトビール「タッチダウンビール」を造っています。
猫背宅からそれほど遠くない距離なので年に1回は清里まで行くのですが、通年醸造の「ピルスナー」はハートランドの面影を感じる、いや、どうしても感じたくなってしまう名品です ぜひご賞味あれ。
タッチダウンビールHP
http://www.moeginomura.co.jp/ROCK/beer.html
タッチダウンのレストランに行った時の記事です
http://nekoze-beer.blog.so-net.ne.jp/2009-01-30
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「楽しんでつくらせてもらいました。苦労したという記憶はないです」
醸造責任者の山田さんが、1986年の開発当事を振り返ってこう述懐しています。そんなハッピーな軽快さが実によくビールに投影されていると思います 「オールモルトのビールは飲み口が重くなる」と信じられていた当時において、このビールのすっきり感はきっと突出していたのだろうと想像できます。
今更このビールのんまさを語るつもりはありません。猫背は初めて呑んだビールに心から感動したことが過去に4回あります。そのうちの1回が樽生のハートランドでした。日本酒をたらふく呑んだ後だったにもかかわらず、あまりのんまさに6杯立て続けに呑んでしまいました シャープな苦味、やわらかい包み込むような麦の甘み、おしとやかさの中にじわりと感じる芯の強さ。大草原の中で深呼吸しているような清涼感 あ゛あ゛、今思い出しても泣ける(T_T)
すいません、語ってしまいました 瓶は生にはさすがにかないませんが、割に簡単に手に入るので、我が家では定期的にいただいてるビールです。
おかげさまで猫背宅の窓はこんなことになってしまいました。
昔撮った写真なので巨大です、すみません
あっしのビールの師匠はこの瓶をたくさん並べて中に土を入れ、ツタを瓶から瓶へと這わせているそうです。か、かっこいい・・・
ハートランドが初めて世に出た上述のレストランが「つた館」という名前だったので、それを意識してツタにしてるのだと思います。あっしも負けずにいずれ電飾か何かほどこしたいと思っとります。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以下、猫背宅のハートランドグッズの面々です。
このプログのビール写真の背景に映り込んでいる、というか映り込ませているハートランド壁掛け。大変気に入っております
ちなみにこいつは昔、広島の串焼きの店「躍」のトイレに掛けられていたものです
新しい壁掛けがやってきてお役御免となり、処分の日を待っていたところを猫背が無理言ってもらってきた、という次第です。トイレから居間へ。警視庁的に言えば3階級特進です。「躍」さん、ありがとうございました。
食べログ内の「躍」のページです
http://r.tabelog.com/hiroshima/A3401/A340101/34001701/
こちらは鏡でございます。ヤフオクでゲットしました。
これはピンバッジです。これも「躍」でもらいました。かなり小さいです。
前にタッチダウンビールのレストランに行った時に、ハートランドファンであることをアピールするためにこのバッヂを襟につけていたのですが、レストランスタッフの誰にも気づかれませんでした。ちーんorz
ハートランドのロゴ入りピルスナーグラス。こちらは大阪のフレンチのお店、sans-souciでいただいたものです。料飲店の皆様、猫背が来たら何かしら持っていかれるものと覚悟しといてください。sans-souciさん、ありがとうございました
食べログ内のsans-souciのページです。
http://r.tabelog.com/osaka/A2706/A270602/27010839/
ジョッキとビアマグです。上のピルスナーグラスは非常に割れやすい(現に一つ割ってしまった)のですが、このジョッキは分厚いガラスで実に頑丈 家で宴会する時に気楽に使えて便利です。
お、こんなのもあった。
マッチ箱大の箱の中身は・・・
クリップでした~。使ったことありませんが。
次に欲しいものは、あっしがハートランドをこれからもず~っとエンジョイするための元気と肝臓と日本です
アサヒ ベルジャンエール 【王者の醸すベルギービール】 [日本の大手ビール]
待ってました~ベルジャンホワイト~
だと思っていたらベルジャンホワイトではなく,ベルジャンエールでした。。。
前にネットでちらっと見たとき「ホワイト」に見えた気がしたので,ホワイトだと思い込んでましたorz
ベルジャンホワイトってのは日本でもよく見かけるヒューガルデンホワイトに代表される,小麦やコリアンダーやオレンジピールを使った実に爽やか&スパイシーな白色ビールだす。
やる気まんまんでヒューガルデングラスに注いでみたら,そこに溢れ出たのは金色に輝くビール!いや~思い込みとは恐ろしいものだ
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ベルジャンエールってのをごく簡単にくくってしまうと「ベルギーで作られているエールビール」ってことです。
エールビールっのては,日本の大手メーカーの金色ビールみたいなクリアなキレを生み出す酵母(ラガー酵母といいます)ではなく,フルーティで複雑な香味を生み出す酵母(エール酵母といいます)を使って醸造したビールのことです。
ちなみに,人間がビールを愛飲し始めて以来の歴史の大半を占めているのはエール酵母によるビールなのですよ ラガー酵母は低温でないと発酵しないために,活躍するにはどうしても冷蔵設備という近代の産物が必要なのです。というわけでラガー酵母によるビールが盛んに造られはじめたのはここ数世紀の話。人間とともにヘベレケの歴史を彩ってきたのはエール酵母による芳醇なビール達なのです。
というわけでアサヒが今回手がけたのは,主力のスーパードライやザ・マスターなどとは全くタイプの異なるビールと言っていいでしょう。実験精神にもほどがありますが,いや~さすがアサヒ,実に美味でございます
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
注いだらまあまずは香ってみてくださいよ。明らかにスーパードライとかとは違う香りがしますよね。ホップのシャキッ!とした草のような香りとは違う,みずみずしい梨のような。そう,そのフルーティな香りこそがエール酵母が生み出したものなのです 微生物達の営みを感じてください~。
呑んでみたら・・・明らかに「甘い!」ですよね。その甘味は麦芽に由来する部分もあると思いますが,おそらくは副原料に用いられている糖類に由来する甘さです。ちなみに,世界ビール紀行第1弾の「メルツェン」の味を覚えている方,あのビールの甘さは糖類ではなく麦芽に由来するものです。明らかに質が違いますよね。
キャンディシュガーのような,ストレートだけどやわらかい甘味。この甘味がもたらすボディ感,簡単に言えばどっしり感こそがベルギーのビールの真骨頂。アサヒはそこんとこうまくやってますね~。甘すぎたら日本人的には「どひゃ~!」となるし,甘くなさすぎたらベルジャンエールじゃなくなる。ギリギリの和解点を模索して,見事に着地していると思います
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「ベルギーのビールって,甘くてさぁ・・・」
猫背が非常によく耳にするビールに関する苦情?です。百花繚乱の多様性を誇るベルギービールを一般化することは不可能なのですが,日本人からしたら概して「甘い」さらに言えば「甘ったるい」という感覚はついてまわると思われます。んでもそういう文句言う人に限って甘口の日本酒が大好きだったり,ブランデーをたしなんでいたりするから,まあ何とも・・・ですな。麦酒天動説,恐るべし。
(麦酒天動説…「ビールは金色で苦いものだ」という日本人特有の思い込み。猫背の造語だす。)
何故ビールにわざわざ糖類を入れるのか!やめたまえ!!という日本人の怒りに僭越ながらお答えしますと・・・
猫背的主観では,糖類を入れる目的を大別すると2つあると思われます。
① 酵母のエサとして入れる
ベルギーのビールの中には,瓶詰めされた後でも瓶の中で酵母が発酵を続けて香味を整えるものがあります。そういうビールは瓶詰め時に酵母と一緒に酵母のエサとなる糖類を少量入れてやるのです。
② バランスを整える
ベルギーのビールはアルコール度数が10%を越えるものがあったり,いろんなスパイスを使っているのがあったり,その幅広さは日本のビールの比ではありません。もしアルコール10%のビールに甘味が全くなかったら・・・アルコールの辛さが強すぎてきっとまともに呑めるシロモノでなくなってしまうと思われます。スパイス使っているものも同じことです。どっしりした甘味がアルコールの辛味やスパイシーさときれいに対比されて味のバランスを保つ。んん~妙技ですな。
今回のアサヒのベルジャンエールの糖類はもちろん②が目的です。6.5%と本場ベルギーのものに比べたらやや控え目なアルコール度数なので,あまりバランス感は感じませんが,本場のものを忠実にかつ日本的に再現しようとした意欲はびしびしと感じます
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
もし少しでもベルギーのビールに興味持っていただけたら,お近くのスーパーのビールコーナーを隅から隅までよくよくご覧になってください。最近はアサヒがいくつかの銘柄の輸入を扱っているので,割によく見ますよ,ベルギービール。
比較的入手しやすいのは「Leffe Blonde(レフ・ブロンド)」,今回アサヒはおそらくこれをイメージしたんぢゃないかなあという「Duvel(デュベル)」,象のラベルが愉快な「Delirium Tremens(デリリウム・トレメンス)」などは今回のアサヒのビールに比較的香味が近いものです。おっと,デュベルとデリリウムはアルコール度数9%ありますからご注意。本場ベルギーの底力を鼻と舌と肝臓で体感してください
アサヒ メルツェン 【王者の醸すドイツビール】 [日本の大手ビール]
アサヒの限定ビールシリーズ「世界ビール紀行」の第1弾です
コンビニで見かけた方も多いでしょう。というか、もうそろそろ在庫なくなりつつあるっぽいですがorz 相変わらずの後ノリ投稿ですみません。。。
「メルツェン」、英語で言えば「March」です。そう、3月。
3月に仕込んだビールを夏の間じっくり熟成させて、暑い夏を越えて生き延びたビールを10月に開栓し、皆で祝う、それがおなじみの「オクトーバーフェスト」です。だからメルツェンのことをオクトーバーフェストとかフェストビールなんて呼ぶこともあります。
現在のオクトーバーフェストではピルスナーも呑まれていますが、昔はこのメルツェンが振舞われていたわけです。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
見た目はクリアな金色ですが、だまされちゃいけませんよ。メルツェンは「苦くない金色のビール」です。なんだこんな甘ったるいものとか怒らずに。「ビールは苦いものだ」っていう先入観を捨ててしまえば、いろんな魅力が見えてくるはずです。特にこのビールの一番の特徴の「甘さ」、やわらかくどこか懐かしいその甘さこそが麦芽由来の甘さなのです。モルツや黒ラベルが日本のビールの中では「モルティ(麦芽風味が強い)」という評価をされていますが、世界にはまだまだ上がいますよん。
同じ金色なのにこんなにも違うのか!というインパクトをアサヒは狙ったのですかね。その狙いはまずまず成功しているとあっしは思います。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
こないだ呑んだ4VG同様、アサヒの実験的製品はそのスピリットもさることながら、出来映えが実によいですな しかも、4VGは「擬似ヴァイツェン」だけど、このメルツェンはしっかり「メルツェン」です。ラベルには謙虚に「メルツェンタイプ」と表記されてますが、あっし個人的には「タイプ」は取り外してしまっていいと思います。つまり、ビールの品評会の時のモノサシである「ビアスタイル」にギリギリではありますが、合致している、ということです。
ちなみに、メルツェンのスタイル定義って、こんな感じです。興味ない人もぜひご一読ください。
「ミディアムボディのビールで、幅広い範囲の色合いを持つ。甘いモルト風味がホップの苦味にやや勝っていなければいけない。ホップの苦味はクリーンですっきりしていること。モルトキャラクターとしてはトースト香が支配的で、カラメル香はあっても低レベル。パンやビスケットのような風味があってもよい。ホップのフレーバーとアロマは低いが、感じ取れるレベルであること。」(日本地ビール協会・ビアスタイルガイドラインより抜粋)
色の明るさはたぶん下限ギリギリだと思われます。が、もともとメルツェンは色にはかなりの幅を認めているのでまあ問題ないでしょう。甘味と苦味についても限界ギリギリ(つまり、苦味がやや強く甘味がやや弱い)ですが、まあ多少は文字どおり「甘く」みてあげてもいいのでは。
ちなみに、同じメルツェンでもこんなのもあります。
埼玉の星・こぶし花ビール(羽生市)のメルツェンです。濃い赤褐色。いちごのようなフレーバーとモルトの柔らかさが際立つ逸品。猫背の大好きなビールです 通販もできますので詳しくはHPを。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
んでも、こうやって大手メーカーが世界のいろんなビールを取り上げてくれるのは何というか両刃の剣なのかなあという気も少しします。
タラコに「辛子明太子」のパッケージをかぶせて、辛子明太子を知らない国民に売る、みたいな悲劇にならなけりゃいいな、と思ってます。
そりゃ悲劇でしょ。だってもしその国民が本場の辛子明太子を食したとしても、「この辛子明太子は辛くてだめだ」ってなりますよね。辛子明太子は本来辛いものなのに・・・。
このアサヒメルツェンについては色が少し怖いところですね。上述したとおり下限ギリギリです。だから、この金色こそがメルツェンの色だ!っていう固定観念を持たれてしまうと、こぶし花ビールのメルツェンは「うわっ、こんなに色の濃いメルツェンないよ。。。」なんて、入り口の部分でまずマイナス印象になってしまいますよね。世界的にみてもメルツェンは淡色よりは濃色の方が多いと思われます。
甘味苦味のバランスについても同様です。もっと甘味の勝ったメルツェンは世界にはいくらでもあります。というか、そっちが普通です。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
あっしは基本的にスタイルの厳密な定義には興味ありません。呑んでんまければそれでいい。スタイルの定義から外れていてもんまいビールは山ほどあるし、定義に沿っていても・・・なビールもそりゃあります。
でも、消費者側の誤ったスタイル認識が原因で、正当な評価を受けられないビールが現れてしまうという事態は何とも悲しいことです。しかも、その誤ったスタイル認識を大手メーカーに蔓延させられてしまってはひとたまりもありません。
「これが世界のビールだ」という看板のもと紹介されるビールのどれもが日本流の解釈をほどこしたものばかりでは、世界のビールに対する誤解を広げてしまうようなものです。麦酒天動説の小さなものがあれこれはびこってしまうようなことにもなりかねません。
大手メーカーがこういった世界の様々なビールを紹介してくれることは基本的にはあっしは歓迎です。が、「世界のスタンダードや伝統を正しく伝えてくれるならば」という条件つきです。
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「世界のビール紀行」、第2弾は「ベルジャンホワイト」です。本場ベルギーの有名どころではヒューガルデンホワイト、ヴェデットなどがあります。どちらも日本で簡単に入手できるので、是非とも冷蔵庫に待機させた上で、第2弾をお待ちください
※12月1日追記
すみません、「ベルジャンホワイト」ではなく「ベルジャンエール」でした ヒューガルデンやヴェデットとは別のカテゴリーです。申し訳ありませんでした。
ちなみにアサヒの名誉のために一言付け加えておきますが、アサヒが運営するクラフトビール醸造所「隅田川ブルーイング」では、スタイル定義通りの実に美味なヴァイツェンが醸造されていて、ビールの品評会では入賞の常連です
キリンスタウト 【エピローグ2】 [日本の大手ビール]
残り4本のうちの1本です。今日本に全部で何本ぐらい残っとるんだろうか・・・。
ちなみに「何このビール!?」「キリンからこんなかっこいいラベルのビール出てるんだ♪」って人、詳細はこちらをごらんください
キリンスタウト(2008年8月29日)
http://nekoze-beer.blog.so-net.ne.jp/2008-08-29
キリンスタウト(2009年4月11日)
http://nekoze-beer.blog.so-net.ne.jp/2009-04-11
誤解ないように言っておきますが、「一番搾りスタウト」とは全く別のビールです。
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香りは製造直後のものに比べるとほぼゼロに近い。産後1年半経ってますからな。でも鼻を近づけると間違いなくキリンスタウト。ロースト麦芽の焙煎香とホップとエステルの香りが華麗にシナジーし合った、他のどのビールにもなかった華のようなアロマがごくわずかながら残っております
「コク」なんて言葉で片付けられない深み。酸味がやや出てきてるかな。んまいです
産後1年半を経てなお一層強く感じるのが、副原料の米の存在感です。甘味酸味苦味焦げ味が舌の上をひとしきり暴れた後をきれいにフィナーレへと導いてくれる。キリンの妙技と言うほかない。絶妙です。
これこそジャパニーズ・スタウトでしょう。副原料なしで造っているアサヒスタウトとは似ているようでやはりこの点で決定的に異なる。日本人の嗜好に徹底的にあわせるキリンのビールの最高峰なのでは。米を使って何が悪い。美味ならば文句ないだろ。そんな無言のメッセージを、米と共に歴史を歩んできた日本人としての誇りを強く感じます。
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キリンスタウトなきあと、猫背的スタウトめぐりはいまだ続いています。その中で国内のもの、海外のもの問わず、魅力的なスタウトに数多く出会いました。でも、海外のスタウトを呑むとどうしても感じてしまう「背伸び感」。これが本場のビールなんだから、これをんまいと思わなければいけないんだ、みたいな違和感を感じることもままありました。
でもなんだろう、この安心感。自分が日本人であることを後ろめたさなく感じさせてくれるこの安らぎ
「日本のビール」を簡単に捨ててしまった(今からすればギネスとの交換条件だったとしか思えないが)キリンの愚挙に改めて失望と怒りを感じますな
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【ビール情報】
キリンスタウト(2008年9月終売)
原材料:麦芽、ホップ、米、糖類
Alc:8%
オリオン いちばん桜 【沖縄の春】 [日本の大手ビール]
今日は沖縄のビール「オリオン」の季節限定醸造、「いちばん桜」でございます
オリオン=沖縄=暑い=ビールが薄い
という猫背的固定観念が華麗に蹴散らされました。ああっ、もっと強く
モルトのほのかな甘味がはっきりと届きます。控え目な苦味と相俟って、ボヘミアンピルスナー的な甘さが実に心地よい。呑みごたえ十分です
オリオンのビールに抱かれがちな「薄い」という印象はゼロ。定番の「オリオンドラフト」と並べて呑んでみるとその違いははっきりわかると思います。麦芽の優しいコクが穏やかに続く。どこまでも続く、凪いだ沖縄の海みたいに・・・あ、ここ妄想です。
この穏やかな甘味の秘密はホップにもあるようです。HPによるとアロマホップ(香りづけのホップ)にドイツのヘルスブルッカーを使っているそうです。ヘルスブルッカーはドイツでは非常にポピュラーなホップで、香りの良さもさることながら、苦味の少なさも大きな特徴みたいです。ホップはなんでもかんでも苦い、ってわけぢゃないんですね。んん~奥が深い
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オリオンビールは戦後に、沖縄の復興の基幹産業となるべく設立された企業です。まさに沖縄とともに歩んできた会社なのですが、本土への進出と、沖縄県限定の酒税減免措置が廃止されることへの対策のために2002年にアサヒビールと提携をはじめています。
現在ではアサヒビールの沖縄での消費分をオリオンが生産していて、オリオンの本土販売をアサヒが行っています。おかげで本州でも普通にオリオンが呑める日本になったわけです。アサヒ、いい仕事してますな
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【ビール情報】
オリオンいちばん桜
原材料 麦芽、ホップ
Alc. 5%
【URL】
オリオンビール
http://www.orionbeer.co.jp/brand/sakura/index.html
琥珀ヱビス 【アンバー・ラガー】 [日本の大手ビール]
琥珀ヱビス
んまいいいいい これ絶対に去年のよりんまい
ローストした麦芽の香ばしさと甘さがすごくきれいに、穏やかに感じられていいですうん
ちなみにこのビールはビアスタイル上では「アンバーラガー」か「ヴィエナ(ウィンナー)」に該当します。簡単に言えば赤褐色のラガービール。
まあどっちに属そうがかまわないんですが、あっし的にはヴィエナよりはアンバーラガーと呼びたいっす。だってアンバーって「琥珀」って意味ですから
日本の地ビールでも「アンバーエール」ってのはよく見ますが、これはアンバーラガーと使う麦芽は同じだけど、使う酵母が違う。エール酵母を使えばアンバーエールで、ラガー酵母を使えばアンバーラガーになる。エール酵母を使うとフルーティなコクのあるビールになり、ラガー酵母を用いるとすっきりとしたビールになります。
日本の大手メーカーのビールはもちろんほぽ全部がラガー酵母のビール。琥珀エビスは日本のビール的なすっきり感を残しながら、ドイツの黒ビールみたいなコクやロースト感を演出した、実にあっぱれなビールなわけです
【ビール情報】
琥珀ヱビス
原材料 麦芽・ホップ
Alc. 5.5%
【URL】
http://www.yebisubar.jp/kohaku/index.html
キリンフリー 【0.00%】 [日本の大手ビール]
休肝日。どの本読んでも書いてるんスよね、休肝日。
「週に最低1日は休肝日をとったほうが良い」とか「2日連続でとらないと意味がない」とか。「毎日1杯のビールは体に良い」とか書いてるのもあるし。まあ諸説紛々で真相はわかりません
と言いながらそこは弱気な猫背です。一応週1日は呑まない日を・・・とこころがけていたのです。
が、最近は350ml缶を1本しか呑まなかった日を「準休肝日」と認定する制度が自分会議で議決されまして
さらに準休肝日が2日続いたら休肝日に繰り上げ認定する、という画期的な制度も編み出して・・・
つまり、全く休んでません。
さすがにこれはまずいなあ、というわけで偽薬実験開始。「人はビールテイスト飲料でビールを呑んだ気分になれるか」
長い前フリにおつき合いいただき誠にありがとうございます。今日はキリンフリーをいただいております
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いただきま~す
んまい 普通にビールだ。できの悪い発泡酒よりよほどビールしてる。
大麦スピリッツではなく麦芽を使ってるから、しっかりモルトの味がするのがうれしいですな。製造工程を調べてみたらびっくり仰天。何と、酵母を用いていない、つまり、発酵させていないのです
ビールのアルコール分は簡単に言うと、酵母の排泄物です笑 酵母が麦汁中の糖を食べてアルコールと炭酸ガスに分解します。だから炭酸ガスは酵母のオナラ、ってなとこですかね。あまりんつくしくない喩えで失礼いたしましたm(_ _)m
つまり、酵母を用いなければ必然的にアルコールは発生しない。ぢゃあ炭酸ガスはどこから持ってくる??後から人工的に充填したのでしょうなあ。HPにあまり詳しく書いていないので推測の域を出ませんが
んでも原材料を見ると、少し萎えますorz
添加物多すぎでは・・・苦味料って、初めて聞いたよ笑 舌にピリピリする感じ、良く言えばスパイシーな感じがあるのだけど、それは一体何に由来するんだろう・・・
まあ気になる部分はいろいろありますが、ゴクゴクプハーというビールならではのカタルシスは十分得られますん
これを呑んでわかったこと。ビールの本質は「酔う」という結果にあるのではなく、ビールが喉を通る瞬間そのものにあるんだなあ
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【ビール情報】
キリンフリー
原材料:麦芽、食物繊維、果糖ぶどう糖液糖、ホップ、酸味料、香料、調味料(アミノ酸)、酸化防止剤(ビタミンC)、苦味料
Alc. 0.0%
【URL】
キリンフリー HP
http://www.kirin.co.jp/brands/kirinfree/
アサヒ ザ・マスター 【王者の良心】 [日本の大手ビール]
アサヒ ザ・マスター
爽快なホップの香り。呑む時はちゃんとグラスに注いで、できればCMで使ってるみたいな細長いグラスに注いで呑んでいただけると、香りがよりはっきりと鼻に届き、感動も倍増ですよん
飲んでみたらモルト感も十分。ホップの苦さと対比されてきれいに麦芽の甘味が出てます
実にパランス良いピルスです。ドイツ式ピルスナーのお手本通りですな。「普通に」んまい。でもこの「普通」を、アサヒがやることにこそ意味があるのだと思う。
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「ビールとは金色の苦い飲み物である」という日本人の固定観念~麦酒天動説~がこんなにも定着してしまったのはもちろん、日本の大手メーカーがそういうビールしか作ってこなかったからです。
しかも、スーパードライが大ヒットしてナンバー1ビールに君臨し続けてるおかげで、最近ではすっかり「苦くて金色」だけではなく「キレが良くないとビールぢゃない」という思い込みさえあるような気もします
サントリーの(プレミアムではない)モルツが一般的に「コクがある」「濃い」という評価をされてしまうわけですから、余程のキレの良さを日本人はビールに求めてるんでしょう。世界の中ではモルツだってキレ重視のビールの部類に入ります。
そこに加えてこの発泡酒&第3のビールの大流行。最近では「生ビール」と称して平気で発泡酒を出す店も出てきた。日本人の思い描く「標準的ビール像」はこれからもますます軽く、キレのいいものになっていくんでしょう
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このアサヒマスターは、そんな日本人の嗜好の変化に対する危惧の表れなのかな、とも思います。
だってこのまま日本人がもっともっと軽くキレのいいものを求めるようになっていったら、スーパードライだって熟撰だってアサヒ黒生だって売れなくなる。相対的に「濃い」ビールになっちゃうから。
それにあくまでもアサヒは「ビール」の会社。そういったビール会社としてのプライドや良心はアサヒにはあるのでしょう
「アサヒスタウト」というビールをご存知ですか?巷に出回ることはほとんどないビールですが、国際的な評価は大変高い名品です こんな商業ベースに乗ることがないビールを今でも造り続けていることからも、アサヒのプライド、責任感、良心をひしひしと感じます。歴史あるスタウトの製造をさっさとやめてしまい、スタウトではないビールに「スタウト」という看板をかぶせているどこかの大手メーカーとはワケが違います。
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アサヒマスターはHPも親切でいいですね 原材料とか製造工程を難解な言葉で並べ立ててハリボテの高級感を演出するのではなく、ちゃんと「説明」してる。ビールは好きだけどあまり詳しくないという日本の大多数の人が読んで、ちゃんと理解できるような内容になってる。
こういう動き、言葉は悪いけど日本人をビールについて啓蒙しようという動きが大手メーカーから出てくるってのは、実に喜ばしいことだとあっしは思います。
アサヒマスターは金色の苦いビールだけど、いつか「金色でもない苦くもないビール」についても、これくらいしっかりとしたPR活動を大手メーカーがしてくれる日が来たらいいですね~。その時こそが日本人が麦酒天動説から解放される時なのかもしれません
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【ビール情報】
アサヒ ザ・マスター
原材料 麦芽、ホップ
Alc.5.5%
【URL】
アサヒマスターHP
http://www.asahibeer.co.jp/the_master/index.html
キリンスタウト 【エピローグ】 [日本の大手ビール]
キリンスタウト
遂に復活、キリンスタウト
嘘ですすいません妄想ですorz
キリンスタウト終売が決まった直後に通販で箱買いしておいたうちの1本です
ちなみに箱ってこんな感じです。15本買い。
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それほどの高温にならなければ余裕で保管できるビールなうえに、秋~冬の低温期という好条件も手伝って、6月製造のキリンスタウト達が今まで息永らえてまいりました。
とは言っても産後9ヶ月経ったビールです。新品の時には感じられた花のような可憐な香りはずいぶんおとなしくなっています。
しかし、経年変化とは喪失であるだけでなく、熟成でもあります。製造直後のもの以上にどっしりしたコクや心地よい苦味が、飲み込んだあといつまでもいつまでも喉に、鼻にこだましています。いつまでも僕のことを忘れないで、と泣きじゃくる転校生みたいに
このあたりキリンの底力を感じます。賞味期限はるか手前でもとても呑めるようなシロモノでなくなってしまうビールも世の中にはあるのですが、長い長い歴史と伝統を背負ったキリンスタウト、さすがにちょっとやそっとじゃへこたれません
この間鉄道博物館に行ったら、東海道新幹線が開通する前に東京~大阪間を走っていた「急行こだま」の食堂車のメニューに「スタウト」とありました。キリンのものかアサヒのものかはわかりませんが、それぐらい昔はメジャーなビールだったということでしょう。ちなみに醸造開始は1932年。現代日本の栄枯盛衰とともにあったビールなんですね。
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とは言うものの冬から春へと変わりゆくこれからの季節、上がってゆく気温にどれくらいキリンスタウト達が耐えられるか。
しかし、このまま賞味期限内に呑みつくしてしまうのは何ともさびしい。。。
そこで猫背、賭けに出ます。
長期熟成させてみます
三次ベッケンビールの醸造長さんが、2年前のデュンケルボック(度数7%)が酒屋から返品されて、試しに呑んでみたら大変美味だった、と話されていたのです。2年ですよ、2年。ラベル上の賞味期限はとうの昔に過ぎています。
ふと思いました。
「待てよ、キリンスタウトは度数8%。ということは7%のデュンケルボックよりさらに保存に向いている。賞味期限がそもそも1年間に設定されているわけだし。」
「そういえばキリンシティではキリンスタウトを「冷蔵」と「常温」の両方用意していた。だからきっと常温より低い気温ならばきっと長期保存できるはず!」
「というか産後8ヶ月を経た今でも劣化することなく、これだけの熟成がされているんだから、きっといける!!」
よし、勝負
最愛のビール、しかももう手に入らない極めて貴重なビールを賭けに使う。この暴挙でエンマ様に舌を抜かれてもかまいません。でも、目の前からなくなってしまうことがどうにもまだ受け入れられなくて
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というわけで、オルヴァルの熟成用に買ったワインセラーの一角に間借りする格好で、キリンスタウトが2本、長い旅に出ました。奥のほうに見える、やや背が高いやつがキリンスタウトです。
セラーの温度は16度に設定してあるのですが、これで大丈夫でしょうかね?もし詳しい方いたら是非アドバイスくださいm(_ _)m
このタイムカプセルが開けられる日が待ち遠しいです。日本で最後にキリンスタウトを呑む男になります
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【ビール情報】
キリンスタウト(2008年9月終売)
原材料:麦芽、ホップ、米、糖類
Alc:8%
【関連記事】
http://nekoze-beer.blog.so-net.ne.jp/2008-08-29